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動画制作授業に関わった先生、クリエイターの声|「街の魅力をPR動画で発信しよう!」クリエイター×学校教育プロジェクト vol.6

2023年6月から静岡県熱海市立初島小中学校の子どもたちが取り組んできた「街の魅力をPR動画で発信しよう!」プロジェクト。約半年をかけて、一人ひとりのPR動画が完成しました。vol.6では、子どもたちと一緒に半年間の授業に取り組んでくださった先生方と、関わったクリエイターの声をお届けします。

動画制作を通じ、見通しをもてるようになった

小学校5年生の担任として、児童の動画制作に伴走してくださった鈴木先生。子どもたちの相談に乗ったり、完成までのスケジュール進行をマネジメントしたりと、子どもたちに寄り添いながら、一緒に取り組んでくださいました。

鈴木先生:
動画制作を授業で扱うのは初めてで、最初に話を聞いたときは、すごいチャレンジだなと思いました。途中、予定通りにいかないところもありましたが、それは子どもたちの中にたくさん伝えたいことやこだわりがあってのこと。そういう姿が見られたのはとても良かったと思います。

今回、プロのクリエイターさんが授業に入ってくださったことで、やっぱり説得力が違ったと思います。そもそも話を聞いている時にも目がキラキラしていました。クリエイターの皆さんの雰囲気が、教員とぜんぜん違ったのも良かったと思います。普段会わないような職業の人と会えたこと自体も貴重な体験になったと思います。

プログラム全体を通して、子どもたちには先を見通す力がついたんじゃないかと思っています。いきなり撮り始めるんじゃなくて、絵コンテがあることで、先を見通して動画全体のストーリーを考えてから撮ることができました。学習でも、学校行事でも、もちろん大人になってからも、見通しをもつのは大切なことだと思います。今回の活動でそういう力がついたのが良かったと思います。

活動の焦点化で子どもの意欲が維持できた

今回のプログラムをご相談したときに、「ぜひやってみたい」と快諾くださった関口校長先生。今年度の学校教育活動のテーマが「発信力」だったこともあり、動画制作プロジェクトに全面的にご協力いただきました。

関口校長先生:
半年間という長いプログラムでしたが、単発で講師の先生が来ていきなり作るのではなく、じっくり時間をかけることの良さがあったと思います。実は子どもにとっては半年のプロジェクトというのはけっこうな長丁場です。しかし今回は、毎回の活動のポイントが絞られていたので、子どもたちも意欲を維持できたと思います。ものをつくる工程を飛ばすことなく、視点をもって進めていく大事な体験ができました。来ていただいた講師の皆さんも、子どもたちのいろいろな点を認めてくださる方たちだったので、ありがたかったですね。

一方で、住んでいる地元の魅力を実感することは、そんなに簡単なことではないとも思っています。本当に子どもたちが島の良さを感じ、伝えていくためには、僕らも9年間かけてプログラムを仕組んでいくことが必要なのかもしれません。そう考えると、本当の意味での活動の成果は、むしろここからなのかな、という気がします。ここが最初の一歩目で、この後どう繋げられるかが大切。そのときに「あのときあんな風にやったよね」と、今回の活動が生きてくると期待しています。

子どもたちの頑張りや大人たちの協力が透けて見えた

これまでも高校生向けの教育プログラムに関わってきた経験から、今回の授業プログラムの全体構想と、第1回「街の魅力を見つけよう」(リンク)を担当したコピーライターの界外さん。プログラムに込めた思いや、子どもたちとの活動を経ての感想を聞きました。

界外さん:
今回のプロジェクトで大切にしたかったのは、自分が言いたいことを、相手に伝わる表現で伝えることです。そこで、いきなり撮影の話から入るのではなく、情報発信の設計図の根幹になるような情報整理の部分を、一番最初の授業にしたいと思いました。第1回の授業では、みんなの頭の中にあるものを付箋に書き出して模造紙の上に全部並べ、仕分けして全体像を把握していきました。一人の作業だけでなく、他の人の意見も見ることで、みんなの頭で考えるということも体験できたと思います。

実際に出来上がった動画を見ると、ものすごく頑張って撮ったんだなということがよく分かります。わずか数分の動画でも、「朝と夜に2回行って撮らないと、この灯台の映像は撮れないな」とか、「PICA(島内のレジャー施設)を撮らせてもらっているということは、ちゃんと趣旨を説明して、地域の皆さんも応援してくれたんだろうな」とか、子どもたちの努力も、それに応えてくださった地域の皆さんの協力も透けて見えるんです。

何かをやりたいと思ったとき、自分の思いをまとめて伝えることで、初めてスタートラインに立てると思います。この先、子どもたちが何かをやりたいと思ったとき、今回の経験が役に立つといいなと思っています。

固定観念にとらわれない、自由な表現に触れた

第3回の授業「動画づくりに必要なことを知ろう」で、動画の企画、撮影、編集の仕方を教えてくれた動画クリエイターの池辺さん。第7回「お互いの作品を見てみよう」では、再び初島を訪れてみんなの動画にフィードバックをしてくれました。これまでも小学生向けの講座に登壇するなど教育の分野でも活動している池辺さんは、今回の動画授業をどんなふうに見ていたのでしょうか。

池辺さん:
初島の子どもたちと一緒にやることになったとき、「これは、大人になってからも通用する、何か大事な勉強になる経験にならないと意味がないな」と思いました。
最初に伝えたかったのは、「自己満足な動画にしない」ということです。だからまず子どもたちには「自分たちと同じ小中学生」というターゲットを意識してもらい、どういう風に初島を紹介したら楽しんでもらえるかという着眼点を持てるようにプログラムを考えました。

完成した動画を見ましたが、正直、想像をはるかに超える仕上がりで驚きを隠せなかったです。子どもたちって固定概念がないので、やっぱり僕の想像の斜め上を行く着眼点や表現の仕方があって、逆に学ぶことがいっぱいありましたね。

例えば、「サザエってキャベツを食べると緑色になるんだよ」というのは、島に住んで漁業が身近にあるからこそ知り得る情報ですし、100年に1回しか咲かない花の話も、そんな花が日本にもあるんだな、と驚きました。

僕の強みは動画SNSです。インターネットというプラットフォームを使って発信することで、自分の思いや願いが世界中の誰かに届き、それが自分の夢や実現したいことの近道になる可能性を秘めている、ということを子どもたちに伝えたい。今回の授業を通じて、この先も、子どもたちに教える活動は続けていきたいと改めて感じました。

率直に意見を言い合う姿に新鮮な驚き

動画制作に取り組む子どもたちの撮影を手がけたカメラマンの高橋さん。ふだんは子どもと接する機会があまりない、という高橋さんは、半年間の活動をカメラで追うなかで、いくつもの驚きがあったと語ります。

高橋さん:
まず、タブレットのようなICTデバイスがもう授業の中に普通にあって、子どもたちも当たり前のように使いこなしていたことに驚きました。

授業をずっと追っていて印象的だったのが、みんな、積極的に自分の意見を話すんですよね。発言したり、アイディアを出すという部分に淀みがないというか、考えたことをそのまま出す感じで。今回のプログラムでは、後半の方に、お互いに意見を言って改善していく場面がありましたが、その時にも、ちゃんと相手の作品を見て「ここはナレーションを入れた方がいいよ」とか、こうやったらいいよ、ということをどんどん伝え合っていました。池辺さんのフィードバックをメモするぐらいのイメージでいたのが、全然違いましたね。自発的に、自分の思いからやっているんだなということがすごく伝わって来ました。
文化祭のときに、「何年も初島のことを考えてきた」と、プランを考えて話してくれた生徒さんがいて、これからも、そうやってやりたいことをどんどんやっていってくれたらいいな、と思いました。大人になると周囲の評価を気にして自分のやりたいことがぶれがちですが、ぶれない人の方がやっぱりかっこいい。そこは僕自身もクリエイターとしてチャレンジしている部分でもあります。途中でやりたいことが変わったっていいと思います。あんまり周りのことを気にしないで、自分のやりたいことをどんどんやっていってほしいと思いますね。

あなたも参加してみませんか?

SHOOTESTでは、クリエイティブの力を社会に生かす「学校×地域」プロジェクトを今後も実施予定です。
「参加してみたい!」というクリエイターの皆さん、「うちの学校や団体・組織でやってみたい!」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。

お問い合わせ先
SHOOTEST CIRCLE 運営事務局
メールアドレス:info@shootest.jp

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

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