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「当たり前」の中から自分達の住む街の魅力を発見する|「街の魅力をPR動画で発信しよう!」クリエイター×学校教育プロジェクト vol.2

クリエイターが小中学校と一緒に授業作りに取り組む「街の魅力をPR動画で説明しよう」プロジェクト。静岡県にある熱海市立初島小中学校の皆さんに参加いただき、プロのクリエイターが実際に行う制作プロセスを元に全8回の授業を構成。クリエイターと学校の先生方との協働でプロジェクトを進めていきました。第1回「街の魅力を見つけよう」の授業では、普段は意識していない街の魅力について、みんなで考えました。

まずは、街の情報を整理しよう

この日、初島小中学校に初めて訪問したクリエイターチーム。学校に着いてまず驚いたのが、子ども達の元気の良さです。「こんにちは!」初対面の大人にも積極的に挨拶をする姿に、こちらも元気づけられます。

授業に参加するのは、小学5年生の3人、中学1年生、中学3年生の5人です。

授業の最初に、
「動画を見たことはあるけれど撮ったことはないので、楽しみです」
「早くYouTubeにアップしたいです」
などと、それぞれの意気込みを話してくれました。

そんな5人に対し、
「プロのクリエイターが動画制作で最初にやることは、動画を撮ることではありません」

そう切り出したのは、第1回のクリエイターの先生、界外亜由美(かいげ・あゆみ)さんです。ふだんはクリエティブディレクター、コピーライターとして活躍している界外さん。「動画制作なのに動画を撮らないってどう言うこと? 一体何をするのかな?」と不思議そうな子どもたちに、
「初島ってどんなところ? 島に住んでいるみんなは詳しいけれど、島の外の人はあまり知らないかもしれない。まずはみんなの知っている、初島にある「もの」や「こと」を、全部書き出してみてください」
と話します。いきなり動画のことを考えるのではなく、地域に関する情報を出し合い、整理してみようという投げかけです。

街を知る子ども達ならではのユニークな視点

初島にある「もの」や「こと」といってもその種類はさまざま。そこで、「自然」「歴史や文化」「行事やイベント」など、いくつかのジャンルに分けてふせんに書き出し、模造紙に貼って整理していきました。

最初は「これでいいのかな?」と戸惑っていた子どもたちも、クリエイターの先生に「そうそう、そういうのをどんどん書いていって!」と言われてだんだんエンジンがかかってきた様子。初島の「もの」や「こと」がだんだん集まっていきます。

島の外の人も知っている「きれいな海」や「たくさんの魚」などの魅力以外にも、「初島七ふしぎ」「たんプレ(誕生日プレゼント)はみんなにあげる」「島には警察がいない」など、ユニークな意見もどんどん出てきます。大人の想像の枠を超えた意見に触れ、クリエイターチームもわくわくしてきます。

「誕生日プレゼントをみんなにあげるの?」と尋ねてみると、「島の子達はみんな仲良しだから、お互いがお互いの誕生日にプレゼントをあげるんです」と素敵な答えが返ってきました。

互いの意見を聞き合い、思いを深める

初島の「もの」や「こと」を書き出したら、次は書き出した「もの」や「こと」それぞれの具体的な特徴や魅力を考え、それも書き出していきます。

島内の漁港を会場に開催される「花火大会」の魅力として「次の日花火のかけらが落ちている」ことを教えてくれたり、「学校でこおり鬼をしている」という「こと」から「島の子達は運動神経がいい」という特徴にたどりついたり、子どもたちの日常が感じられる意見がたくさん出てきました。

さっきから気になっていた「初島七ふしぎ」は、なんと「子どもが知るとたたりにあう」とされていて、子ども達は七ふしぎの内容を知らないのだそう。いろんな意見を出し合う中で、「え、そうなの? 知らなかった」と、他の友達の話を聞いて初めて知ることもあったようです。

「島には警察がいない」と書いたみなとさんに対して、担任の鈴木先生が
「これは、どんな魅力につながりそう?」
と尋ねました。
しばらく考えてから、
「島が平和だから、警察がいなくても大丈夫なんだと思います」
と、しっかりした意見を返してくれたみなとさん。ふだんは当たり前のこととして慣れっこになっている「もの」や「こと」でも、友達の意見を聞いたり、質問に対して考えることで、その特徴や魅力が見えてきます。

そんなふうにわいわいと話しながら、5人の子どもたちが考えた「初島にある『もの』や『こと』の魅力や特徴」のまとめが完成しました。

授業を終えて、ふせんを貼った模造紙をみんなで眺めてみました。

「島にたくさんの魅力があることがわかって良かったです」
「どんなことを動画にするか、早く考えたいなと思いました」
「次が楽しみ。早く撮りたいです!」

と、次回の授業を楽しみにしてくれている様子。それぞれが心の中に持っていた地域の魅力を改めて言葉にして出し合うことで、発信する上で大切な「伝えたい」という気持ちを掘り起こす時間になりました。

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

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