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女性の人生とキャリア

結婚はする?子どもは産みたい?一人ひとりの選択。女性クリエイター座談会vol.3

30代と40代。仕事のおもしろさを日々実感している女性クリエイター3人が、女性の人生とキャリアについて語り合う座談会。前々回、前回に続き、さらに本音で深堀りしていきます。
やりがいのある仕事がある毎日。結婚や出産をきっかけに今の生活をガラリと変えるのか、それともバランスを取ってそのまま続けていくのか。一体、自分はどうしたいのか。読者のみなさんも、ぜひ一緒に考えてみてください。

座談会参加者プロフィール
柴山あかねさん
デザイナー。週3日、正社員としてPR関連の仕事をしながら、複業フリーランスデザイナーとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛ける。コーヒー屋とのコラボで商品開発も。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。
石丸暁子さん
インテリアデザイナー。美大卒業後、革製品のバッグ店での販売員、リフォーム会社での営業を経て、現在、建築事務所に勤務。飲食関係やホテルなど多様な空間づくりに携わる。二級建築士。
界外亜由美さん
「言葉」で伝える制作会社mugichocolate代表取締役。コピーライター、クリエイティブディレクターとして活動の場を広げる。産前産後の女性とサポーターをつなぐ「MotherRing」主宰。


気づかないうちに自分の中から消えていく、出産の“ボタン”

石丸さん:私は、常にいい仕事をするために、体感することをとても大切にしています。行きたいところがあったら、まず自分で行ってみて、感じたことを受け止めるんです。行動するかしないかを決める“ボタン”が自分の中にはあるのですが、今はまだ、出産の“ボタン”がない気がしているんです。

界外さん:出産の“ボタン”は存在するけれど意識していないのか、または本当にないか、どちらなんでしょうか。

石丸さん:今は意識していないだけかもしれないですね。ただ、年齢とともに、いつの間にか出産の“ボタン”が本当になくなってしまうかもしれないとも思います。最近、親友がそれに気づかせてくれました。「出産の“ボタン”がどんどん押しにくくなっていくんだよ」って。

界外さん:選択に正解はないし、簡単に答えも出ないけれど、こうして誰かの話を聞いていると、情報ではない何かが増えていく感じがしますよね。何か気になったり、関心を持ち始めたり、考えるきっかけになったり、そんな準備ができているような気がします。

正解がないパートナーとの関係性をどうつくるか

柴山さん:結婚と出産について言えば、私の中では、20代と30代の変わり目が大きな節目だなと思います。

石丸さん:柴山さんは、まさに今ですね。

柴山さん:一度、結婚を経験したから、年齢のわりに結婚願望は少ないほうかもしれません。

界外さん:私は、結婚する前は、「一度はしたい」と思っていましたね。

石丸さん:思い出せばそう思った時もあったかもしれない。

界外さん:出産も一度は経験したいなとは思っていました。

柴山さん:私、ある人から、「結婚は共同事業の経営者同士みたいなもの。甘い恋愛のような考え方ではうまくいかない」と言われたことがあるんです。

界外さん:すごくシビアな考え方ですね。

柴山さん:「お互いに一緒に成長するという気持ちでいないと、他人同士はぶつかり合ってしまう」と。

石丸さん:たとえジャンルが違っていてもそれぞれに頑張りたいものがあって、楽しくやり続けるためにチャレンジしている人と一緒になるのがいいということを言いたかったのかもしれないですね。

柴山さん:そうなんでしょうか。まわりの友人はいま、結婚を意識している人が多くて、結婚するか、別れるかで迷っている人もいます。正解がないからこそ迷うのかもしれないですね。

石丸さん:私は明確に選べない時は、そのまま流れるように生きたいと思うようになりました。それが器用な生き方なのかなと、最近わかってきたんです。

柴山さん:選べない、となるほどに女性の選択肢も増えましたよね。結婚や出産以外でも、キャリアの積み方も働き方も自分で選べることが増えたように思います。

たくさんの選択肢から、どれだけ自分が納得した選択ができるか

石丸さん:本当に、昔に比べたら選択肢はたくさん増えていますね。お金がなくても幸せだと感じる人もいるし、価値が多様化している分、とてもいい時代になったなと感じます。でも、その反面、選ぶことが難しい時代になっているのかも。

界外さん:この混とんとした時代が好きだという人もいれば、嫌いな人もいるはず。でも、クリエイターの多くは、この混とんとした中で試行錯誤することが好きだったりしませんか。

石丸さん:私はすごくワクワクします。仕事でも課題を解決していくことが好きだから。

界外さん:このまま自分を時代の流れのままに泳がせてみようか、みたいな感覚かな。

石丸さん:そうそう。土の時代から風の時代に変わったってお話もありますよね。

界外さん:クリエイターって、風の気質を持っている人だと思うので、今の状況は「待ってました!」というところはありますよね。

石丸さん:土の時代は、努力は報われるとか、目標を立ててそこに向かって前進する力みたいなものが問われると思うのですが、今は多様な価値観が認められていますよね。その中で次に問われるものは、「何を基軸として人生の選択をするか」。ここは強く意識しないといけないと思います。

界外さん:自分で心から納得して選ぶ力ですよね。学校では教わらないことです。そして、結婚や出産も人生の選択肢の一つですが、人間の人生って、限りがあるから美しいし、感動が生まれると思うんです。いつか死ぬっていうタイムリミットがあるから、「いつまでにこうしたい」という動機も生まれるのかなと思います。そうじゃなければ、私はすべて先送りしちゃうかも(笑)。

柴山さん:本当ですね。タイムリミットというと、子どものことはすごく考えた時期があって。私の母は再婚しているのですが、結婚や出産の話もよく相談にのってもらったりしているんです。そうしたら、母から「自分で子どもを産むのもいいけれど、自分で産むことだけを考えなくてもいいのよ」と言われました。「養子という選択もあるから」って。
母も再婚した時に子どもをもう一度産みたいと思ったことがあったらしくて、でもその時にはもう年齢的に難しかったから、そういったことを考えたと言っていました。その話を聞いた時、「そういう選択もあるんだ」って思ったんです。

界外さん:私は一度出産を経験しているからかもしれませんが、今思い出すと、おもしろい経験だったなって思っていて。私はとてもラッキーで、自分で産んだという感覚がしっかりとあるんです。たまたまなのですが、いい出産経験でした。

石丸さん:出産で痛い思いをしすぎてもう二人目は考えられないっていう声は聞いたことがありますが、界外さんはそうではなかったんですね。

界外さん:私も出産直後はそう思っていたんです。でも、不思議なもので時間が経つと痛かったことを忘れちゃいました。

石丸さん:女性はいやなことがあると忘れたり、目をつむったりする能力が高いと聞いたことがあります。

界外さん:あんなに痛いと思っていたのにいい経験だったなんて、自分でもよくわからないと思ったりします。一方で、養子を迎えて育てるということも、これからはますます現実的な選択肢になってきますよね。そう思うと、どんどん選択肢が広がっていきそうですね。その中で、自分が何を選択していくのか。みなさんがどんな人生をつくっていくのか。それぞれの選択を尊重したいし、応援したいです。時間をおいて、またみなさんとお話しする機会を持ちたいです。

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

神奈川県生まれ。コーヒースタンド、コンテンツ制作会社を経て、現在はクリエイターとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛けながら、プランニング企業に週3日の正社員として勤務している。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。

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