女性の人生とキャリア
結婚と出産のタイミングはいつ?仕事とのバランスの取り方。女性クリエイター座談会vol.2
女性クリエイター3人による座談会。前回はそれぞれのキャリアと30歳という一つの節目に感じる結婚と出産の考え方について語り合いました。
会社員をしながらデザイナーとして仕事をする柴山さん、これまで仕事優先だった人生からようやく結婚を少し意識できるようになったという石丸さん、結婚し子育てと会社経営を両立する界外さん。今回は、さらに一歩踏み込んだ話が繰り広げられました。
座談会参加者プロフィール
柴山あかねさん
デザイナー。週3日、正社員としてPR関連の仕事をしながら、複業フリーランスデザイナーとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛ける。コーヒー屋とのコラボで商品開発も。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。
石丸暁子さん
インテリアデザイナー。美大卒業後、革製品のバッグ店での販売員、リフォーム会社での営業を経て、現在、建築事務所に勤務。飲食関係やホテルなど多様な空間づくりに携わる。二級建築士。
界外亜由美さん
「言葉」で伝える制作会社mugichocolate代表取締役。コピーライター、クリエイティブディレクターとして活動の場を広げる。産前産後の女性とサポーターをつなぐ「MotherRing」主宰。
結婚も出産も、あれば人生がより豊かになるもの
石丸さん:今まではずっと仕事優先できたけれど、33歳になってようやくそれじゃいけないのかなって思うようになったんです。結婚や出産もやっと自分のこととして捉えられるようになりました。
界外さん:柴山さんが仕事を選ぶ基準として話してくれた、なくてもいいかもしれないけどあるとより人生が豊かになるものということ。結婚や出産もそのことが言えるかもしれませんね。
石丸さん:本当に、すべては自分次第なんだなと感じています。インテリアデザイナーの仕事では、自分よりも歳の離れたお客さんを相手に仕事をすることがほとんどです。ホテルバンケットの設計に関わっていても、新婦の席に座った経験がないから、100%その気持ちがわかるわけではありません。妄想するしかないのですが、今はその可能性が自分の中にある状態というだけでも変化は大きいかもしれません。
界外さん:きっとこういう気持ちなんだろうなとか、こういうことは嫌だろうなとか、ある程度理解ができるんですよね。
石丸さん:完全に想像の世界だったのが、うそ偽りなく自分の気持ちをベースにお客さんに寄り添えるようになりました。建築の仕事って、自分が経験したことがアウトプットにも表れるんです。豊かな発想で空間を作れる人は、それだけ充実した人生経験をしているのだと思います。
界外さん:人の喜怒哀楽に触れるようなものを作りたいと思うクリエイターは、みんなそうかもしれないですね。ベースには、自分自身が感動したという実感がある。
石丸さん:だから自分から情報を取りに行かないと、という気持ちが強いです。今はコロナ禍で難しいですが、それでも関心のアンテナは常に張り続けています。いいものを人に提供したいと思う限り、自分の人生も前進し続けたいです。
出産を理由に、仕事を途中で抜けることが想像できない
界外さん:石丸さんは本当に今の仕事が好きなんですね。能動的に動いて取りにいける経験もあれば、一方で、手に入れたくても手に入らないものもあるんじゃないかなって思うんです。たとえば結婚は相手のあることだし、出産も誰もが経験するわけではなくて。
石丸さん:界外さんは何歳の時にご出産されたんですか?
界外さん:30歳です。でも、深く考えたわけではなくて、結婚後に「子どもがいる生活もいいな」となんとなく夫婦とも思っていたら授かったんです。結婚も出産も自分の人生においてすごくいいライフイベントだけれど、自分で明確に決めた感覚はありません。なんとなくそうなった、というか。
石丸さん:覚悟なく踏み切れたんですね。「よし、産もうか」と思えるのは、ある意味しなやかで大きな決断だと思います。わたしのまわりは結婚している友だちが増えているのですが、同世代かそれより少し先輩の世代だと不妊治療をしているご夫婦も多いと聞きます。そういう話がやっと最近になって自分のアンテナに引っかかるようになりました。
ただ、私の仕事は、2~3年がかりのプロジェクトが多くて、その間に出産となることが今はあまり想像できていません。自分が苦楽をともにしながら育て上げてきた仕事を途中で抜けて、完成まで見届けることができないということが思い浮かばないんです。
界外さん:それはいろいろ考えてしまいますね。
石丸さん:でも、親友に言われたんです。「仕事も子どもも同じ一期一会かもしれないけれど、出産できる年齢には限りがあるよ」って。
界外さん:自分が心を許せる存在の人の言葉は影響力がありますよね。
石丸さん:彼女は今までにも何度か私にそういう話をしていたのですが、最近になってやっと意識するようになったんです。
この10年で、子どものいる女性が働きやすい時代に
界外さん:私は今42歳で、頑張る、頑張らないじゃなくて、選べない人生もあるなって感じています。やらなかったことも含めて、唯一無二の自分の人生だなと思います。
柴山さん:私は結婚していた当初は、子どもを出産したら自分自身の人生は諦めなければいけないと思っていました。
石丸さん:その時は、22〜23歳の頃ですよね。
柴山さん:そうです。その時は、子どもを産んだら自分の人生すべてが子どものものになるって思っていました。今は、子どもがいても活躍している女性はたくさんいますが、当時、私の周りでは、専業主婦になっている人が多かったのでそれ以外の選択はないと思ってしまっていたんですよね。
石丸さん:それから10年くらい経って、当時よりは女性も働きやすくなっていますよね。
界外さん:昔は、実家のサポートがないと子どものいる女性が仕事を続けるのは難しいという雰囲気があったけれど、今は家事代行サービスや行政の支援なども充実してきて、働きながら子どもを産み育てる人生を選びやすくなっているように思います。あと、実際、子どもと一日中一緒に過ごす期間って案外短いんですよね。うちの子どもは今12歳ですが、振り返ると短かったなと感じます。
石丸さん:ずっと一緒にいる期間って、生まれてから2年くらいですか?
界外さん:考え方も人それぞれで、私は保育園でも育ててもらったからそれをどう取るかですが、子どもと必ず一緒にいなきゃいけないというのは幻想だと思っています。たしかに「永遠にこの日々が続くのかな」と思ったこともありました。でも、1歳から保育園に通い始め、それぞれの時間を過ごしつつ、子どもは大きくなっていきました。
石丸さん:なるほど。私は出産する、出産しないはまだ想像できていませんが、可能性としては持っていたいなと思います。
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次回は7/21(水)公開予定です。同じクリエイターでも、生き方も考え方も異なる3人。今をどう生き、選択していくか、深く語っていきます。
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