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専門家インタビュー:弁護士

無理な条件で仕事を依頼されたら?契約にまつわる法律の基礎知識vol.2

フリーランスという立場で仕事をしていると、「それはさすがにちょっと…」という厳しい条件を提示されることもあるはずです。そんな時、どうすればいいのでしょうか。
vol.1の最後には「最低賃金を割るような仕事をしているのなら、フリーランスになった意味がありますか?」と根源的な問いをして下さった弁護士の日高義允先生に、引き続きお話を伺いました。

専門家プロフィール
日高義允 Yoshichika Hidaka/弁護士
大学時代、IT分野で起業した友人が法的リスクを乗り越えられず失敗した経験から、システム・アプリ開発等のIT分野に強く、民事と刑事の両分野で経営者を支える弁護士を志す。単なる代理人や法律屋に止まらず、お客様の拠り所になれる「弁護士以上の存在」でありたいと願う。法律事務所アルシエン弁護士。


そもそも、請けなければいい!?

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高橋遼さん

前回、時間に換算して最低賃金を割っているのならフリーランスでやっている意味がない、というお話で終わりました。
ただ、実際はそんな無理なものを求められることがあるんですよ。例えば、どれくらい制作時間がかかるかわからない内容で「10個の動画を作って」とか。


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日高弁護士

でも、極端に言うと、1分でその動画を作っても同じ報酬をもらえるわけですよね。
なので、作業量と単価の決め方の交渉の問題だともいえます。


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高橋遼さん

自分の知識や経験をもとに、ちゃんと交渉しましょうということですか。


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日高弁護士

そうです。その金額でできません、という約束はしてはいけません。


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高橋遼さん

でも、後からものすごく作業工数が増えるとわかった時にはどうすればいいでしょう。


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日高弁護士

それは受ける時に、仕様や追加工数を詰めてから仕事を受けた方がいいですよね。
見込みで受けてしまうのがクリエイティブ業界の大きな問題の一つだと思いますよ。
クリエイターの皆さんは、そういう受け方はできないというんだけれど、実際、プログラマーの皆さんはそこをちゃんとやろうとしているところが比較的多い印象です。


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高橋遼さん

おっしゃることはわかります。でも、伸びている市場もあればそうでない市場もあって、プログラマーに比べると、今はクリエイターの単価は低く見積もられがちだと思うんです。


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日高弁護士

もちろん、いろんな事情があって大変なのはわかります。でも、だからといって、不満を言っているだけでは変わらないんです。

10円でダイヤモンドを手に入れられるか

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高橋遼さん

では、もっと良い条件を得るために、何から始めたらいいでしょうか。


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日高弁護士

以前に比べると、クライアント側が問題ある対応をした時は、SNSなどで情報が拡散され、多くの人に認知されやすくなっています。そういった環境の中で、よくある問題は、人々の間で共有されやすくなっていると思います。
また、フリーランスの方でも、自ら条件を決めて契約書をつくっている人も増えているのではないでしょうか。
対等な関係を作るためには、こういった“下からの突き上げ”がある程度必要だと思うんです。何もしないと、権利は守れないので。


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高橋遼さん

なるほど。


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日高弁護士

極端な例ですが、10円を払ってもダイヤモンドを手に入れることはできないですよね。同じように、企業が現実的ではない低価格で発注したら、「できませんでした」と言われる可能性が高くなります。できなかった場合、困るのは発注側です。結局、無理な契約は発注側にもリスクなんです。
ただ、知っておいてほしいのは、発注側が金額に見合わない無理な仕事をさせていると理解していない場合もあることです。


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高橋遼さん

発注者側に作業工数のリテラシーがない、ということですか。


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日高弁護士

そうです。発注者は実際に作業をしたことがないので、わからないことがたくさんあります。そう考えると、受注する側も、共同作業の意識を持たないとダメですね。

元請けが調子のいい口約束をした時には

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高橋遼さん

撮影業界の場合、なんとなく相場価格はあるのですが、明確な基準がないんです。原価割れすると思って説明しても、基準がないので相手に伝わらない時があるのですが。


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日高弁護士

そういう時は、他の企業に同じ案件をお願いしたらどれくらいかかるか、見積りを取ってみるのはどうでしょうか。受注側も発注側の意識を持って考えたり、対応することが大事だと思います。


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高橋遼さん

客観的に見ることが必要、ということですね。


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日高弁護士

はい。加えて構造上よくあるのが、発注元がいて、受注先(元請け)があって、さらに下請けがいる、という時に、真ん中にいる元請けが、次の仕事につなげるために安価な価格で受けちゃうことが結構多いんですよ。
その場合、本来は元請けがその損失をかぶらなくちゃいけないのに、無理を下請けに強いてしまう。これは構造上の問題だと思っています。建設業でもよく見る構造ですね。


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高橋遼さん

それよくあります!


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日高弁護士

そういう場合も、無理なことを言われた時は胆力、交渉力が大切です。
そして、「追加費用が必要になったら払うから」といった口約束をされた時は、記録に残すのが大切ですね。電話で聞いた場合も、議事録にしてメールで送る際に「間違っている点があればご指摘ください」と書いておくといいですね。


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高橋遼さん

それいいですね!次からはそうします。



次回は、12/22(水)公開予定です。こんなはずじゃなかった、いざという時どうすればいい? という突然のトラブル時の対応と共に、「法律は、弱いものの味方なのか」というところに踏み込んでお聞きしていきます。

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

1988年生まれ。2011年に独立、最先端技術からアナログ技術を結ぶクリエイティブを提案。CM、MVなどの商業映像を始め、シネマティックな世界観での映像表現を追求。海外のフィルムフェスティバルでの受賞など、映像作家としても活動している。

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