専門家インタビュー:社会保険労務士
安心してものづくりを続けるために、これだけは知っておきたい保険・年金の基礎知識vol.2
病気や怪我、高齢化など、人生の危機を支えてくれる保険制度。その主旨は理解していても、毎月支払う保険料を負担に感じることはありませんか?保険料を抑える方法や、もしもの際の手続きについて、社会保険労務士(社労士)の神谷淳さんにお話を伺いました。
専門家プロフィール
神谷淳 Jun Kamiya/社会保険労務士
新卒で金融機関に入社、不動産管理会社へ出向。退職後に社会保険労務士試験合格。中小企業で卸の営業を経験後、社労士法人に勤務。2017年に「社会保険労務士 神谷事務所」として独立開業。
毎月の保険料、少しでも抑えたい人にはこんな方法も
今回は、保険料のことから教えてください。保険の意義や仕組みについては前回(リンク)伺いましたが、とはいっても国民健康保険は社会保険と比べて、事業者負担がない分、保険料が高いですよね。
実は、同業者から、フリーランスでも入れる社会保険があるって聞いたことあるんですが。
業界ごとに、フリーランスでも加入できる健康保険組合をつくっているケースはありますね。
業種×社会保険 で検索してみたり、口コミで聞いてみると、いろいろ出てくると思います。収入などで要件を定めているところが多いので、ご自分が要件にあてまはまるかどうかを必ず確認してください。
他に、毎月の保険料を抑える方法はありますか?
複数の事業をしている場合になりますが、法人をもつと保険料安くなりますよ。
それはぜひ詳しく聞きたいです!
自分のもっている事業の一部を担う法人を立ち上げるんです。
たとえば高橋さんなら、映像制作は個人事業主としての自分、ディレクションの部分は法人、という風に切り分ける。
で、自分がその法人の役員になって報酬を抑えれば、自動的に保険料も抑えられます。
なるほど。それは検討する価値がありそうですね。
法人化みたいな話にもなってくると思うと、その辺りを誰に相談したらいいのか迷います。税理士さん、社労士さんなど、士業もいろいろですよね。最初に相談するとしたら、どこに行けばいいですか。
これはぼくの肌感覚になりますが、税理士さんに最初に相談するのがいいんじゃないかと思います。いずれにせよ、税金の部分は必ず絡んでくるので。
いざという時に手厚いのが公的年金の魅力
今まで支払う方の話ばかりしてきましたが、もらえる方の話でいうと、なんらかの障害を負った時に受給できる「障害年金」があります。障害年金とは、病気やケガなどで、日常生活に支障をきたしたり、今まで通りに働いたりすることが難しくなった場合にもらえる年金です。
身体疾患だけでなくうつ病などの精神疾患も含まれ、多くの病気やケガが対象になっています。
もうひとつ、家庭の中で生計を担っていた人が亡くなった場合、その配偶者や子どもが受け取ることができる「遺族年金」もあります。
「障害年金」の方は、気づいていないけれど実は受給資格がある場合もありそうですね。「あてはまるかもしれない」と思ったら、問い合わせてみた方がよさそうですね。
そうですね、お住まいの市町村の年金事務所に問い合わせてみてください。
大変な時期だとは思うのですが、障害年金も遺族年金も金額が大きく、後の生活の大きな支えになりますので。
本当に、いざという時は手厚いんですね。保険って優しいんだな・・・
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次回は6/25(金)公開予定です。雇用が生じた際に必要な保険の知識についてお届けします。たとえば業務が増えて手伝ってくれるアルバイトを募集したい時、どのような手続きが必要になるのでしょうか。最近増えている複業クリエイター向けの情報も、合わせてお届けします。続きをお楽しみに。
※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。