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クリエイターの仕事と生活を両立するために大切なこととは?Muu COFFEE 加藤宗将さん【素敵なクリエイターさんに会いに行こう!】vol.3

パーソナリティ柴山あかねさんが、チャレンジし続ける素敵なクリエイターにインタビューし、魅力に迫ります。
今回は、コーヒースタンド「Muu COFFEE」を経営しながら絵本の出版や焙煎プロジェクトなど多方面で活躍中の加藤宗将さんがクリエイターとして今後挑戦したいこと、描いている未来について詳しくお聞きしました。

クリエイタープロフィール
加藤宗将さん

横浜市出身。神奈川県海老名市のコーヒースタンド「Muu COFFEE」のオーナー。お客さんの好みに合わせたオリジナルの焙煎を得意とする。コーヒーの商品企画や絵本の出版など、クリエイターとしても多岐にわたって活躍している。
https://muucompany.com/



クリエイターとして活躍し続けるための教育を

柴山さん:「Muu COFFEE」を起点に、いろいろな企画を立ち上げて豊かな時間を提供している加藤さんですが、今後さらに挑戦したいことはありますか?

加藤さん:「Muu COFFEE」も「Muu and」の企画も、もう少し自分の手を離せるように仕組みを変えたいと思っています。アーティストやクリエイターとゆっくり会う時間も作りたいし、自分の生活を豊かにするための工夫もしていきたいので。
もうひとつ、若いクリエイターに向けた教育の仕組みをつくれないかと思っていて。

柴山さん:具体的にはどんなことを考えていますか?

加藤さん:お金の管理が苦手で、利益が出ないまま仕事を続けているフリーランスのクリエイターにたくさん出会ってきました。そういうクリエイターのために、収益をあげるための教育の仕組みが必要だと思うんです。
業種は違いますが、芸能界には、数多くのパフォーマーを抱えながら、企業として利益の上がる仕組みをつくっている会社がありますよね。あんな風に、パフォーマーやクリエイターを目指す若い人たちが収益を得ながら創作活動を続けていける仕組みをつくりたいです。

柴山さん:ビジネスとして、クリエイターの活動を続けていくための実践の場ですね。

加藤さん:はい。活動を続けるために大事なのは、自分が制作したものを「商品」に落とし込み、お客さんに選んでもらうことです。思い通りにならないことも含め、人に知ってもらう方法や売る方法を、実践を通して学んでもらいたいと思っています。夢を追いかけている20代ぐらいの人が、自分のスタイルで頑張れる場所を作りたいと思っています。

僕は、これまでずっと「夢は追いかければ必ず叶う」と思っていました。でも、例えばコーヒー屋さんでも、せっかくオープンしても廃業してしまう人の方が多いんです。その中で残っているコーヒー屋さんは、当然ですがしっかりと収益を上げています。「夢は必ずしも叶うわけではない」という現実をたくさん見てきたので、現実的に持続可能なクリエイターの仕事を作るための会社を作りたいと思っているんです。2022年、できることから始める予定です。

移動型コーヒースタンド「THE MOBILE COFFEE STAND」を始めた時もそうですが、何か始めたい時にはあまり不安になるようなことは考えず、行動するようにしています。「なぜこうなるのか」を、僕の経験を通して伝えたいです。

知ってほしい製品に光が当たるまで辞めない

柴山さん:今後は、どんな人と一緒に企画を形にしていきたいですか?

加藤さん:僕にはまだ未経験なことがたくさんありますし、本業はあくまでもコーヒー屋です。それをよく理解してもらったうえで、知られていない、売れていない段階も共有しながらアイデアを出し合っていける人と一緒にやりたいですね。
僕自身は、つくった物にどう光を当てていくか考え、行動するのが一番おもしろいと思っています。否定的なことを言われたりもしますが、逆風がある方がその商品に対する愛情も育つんですよね。きっと、その製品の本当の面白さ、良さが見えてくるからだと思います。
自分のつくったものを心から「好き」と言ってくれる人と出会った時、初めて光が当たります。逆風を乗り越えて、育ててきて良かったと思える瞬間ですよね。
たとえば、「Muu COFFEE」の「EBINA SPECIAL(海老名スペシャル)」というコーヒー豆は、飲みやすいコーヒーをつくろうといろいろ考え尽くしてつくったにも関わらず、しばらくの間まったく評価されませんでした。それがある時、食の専門家の方が「EBINA SPECIAL」を飲んで、「すごくいい豆を売っている」と言ってくれたんですよ。自分のやってきたことは間違ってなかったんだと思いました。相手にこちらの想いが伝わったと感じて、「辞めなくてよかった」と思いました。

未完成でもいい。動いて、自分の仕組みを作る

柴山さん:続けることで、製品に込めた想いを理解してくれる人と巡り会えたんですね。

加藤さん:これは、若いクリエイターさんたちもいずれ経験することだと思っています。作品をつくって人に届けることを続けていれば、いつか想いが届く瞬間があります。誰にも届いていないと感じるのは、発信が足りていないだけ。若いクリエイターさんの中には、作品を完成させただけで満足する方も少なくないと思うので、しっかり世に出すことを考えながら、人に伝える経験を積んでほしいです。
未経験で何か始めたい人に対して、どこかで修行することを勧める人も多いと思います。でも、修行はあくまで手段の一つだし、修行をしたからといって必ず成功するものでもありません。資格取得も同じですね。そこに時間を使うより、まずは小さく始めて、生活しながら、人生をかけて追っていけばいいと思っています。クリエイターの仕事と生活を両立する仕組みは、自分で作るしかありません。動くしかないんです。

イベントなどは、開催すれば一度にお客さんが集まりますが、終われば人はいなくなります。一方、「Muu COFFEE」のようなお店は、人々の日常に溶け込んで、売り上げを継続してつくっていくことが求められます。特に駆け出しのアーティストやクリエイターの方には、そういった努力が必要だと思っています。音楽なら、「毎朝聞きたい」と思ってもらえるように、絵なら「部屋に飾りたい」と思ってもらえるように、価値を作っていってほしい。
僕自身、これからもいろいろな企画を通して、若いクリエイターさんたちと一緒にたくさんの価値を創っていきたいですね。

パーソナリティ 柴山あかねさんの「編集後記」

「行動以外は、衰退」。
加藤さんは、「行動しているうちに、軸がぶれてもいいと思っています。失敗したり怒られたりしてもいいから、行動し続けることが大切」とおっしゃっていました。
行動した人こそ「これが好きなんだ」と感じたり、「自分には向いていなかった」ということもわかるのかもしれません。
例えば、わかれ道があったときに、左に行くか右に行くか、その先がどうなっているかは先に進んでみないとわからないですよね。
もし、選んだ道の先が崖だったとしたら、戻ればいい。ありがたいことに、人生は左か右かの2択ではないので、その道は違ったということがわかっただけで、一歩前進なんだと思います。
迷いながら、失敗しながらも、恐れずに行動する人でいたいです。

【 Information 】

Muu COFFEE
〒243-0406
神奈川県海老名市国分北1-41-5
https://muucompany.com
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水・木

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

神奈川県生まれ。コーヒースタンド、コンテンツ制作会社を経て、現在はクリエイターとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛けながら、プランニング企業に週3日の正社員として勤務している。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。

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