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専門家インタビュー:弁護士

契約と記録でトラブルを未然に防ぐ。クリエイターが知っておくべき著作権の基礎知識vol.2

クリエイターの支援を行っている弁護士の河野冬樹さんにお話を伺う専門家インタビューの2回目は、制作の過程でよくあるクライアントとのやり取りについてお聞きします。
誰でも「え?そう言いましたよね?」という、言った言わないの揉め事は避けたいですよね。そのためにやっておきたいこと、そして、著作者人格権についても教えて頂きました。

専門家プロフィール
河野冬樹 Fuyuki Kawano/弁護士
本好きが高じて学生時代より出版関係に関わった経験を持ち、著作権関連法務、個人事業主向け法務が専門。「出る杭のちからになりたい」をキーワードに、創作活動をされる方の支援を行っている。第一東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン弁護士。


契約書がなくても契約は成立する?

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大石智久さん

クリエイターの仕事って、商習慣的に契約書を交わさないとか、受注時に対価がいくらなのかを聞かない、聞けない部分があるんです。
だから最近、著作権についていろいろ考えるクリエイターが増えてきたと思うんですが、クリエイターとして仕事を請け負う上で、知っておいた方がいいことや、やっておいたいい方がいいことはありますか。


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河野弁護士

まず一つは、契約書をちゃんと読むこと。もう一つは、チャットやメールの記録を残しておくことです。
これは著作権に限ったことではありませんが、契約と言うのは、契約書に書いてあるものだけではなく、メールのやりとりで決まったことも契約、合意になるんです。


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大石智久さん

契約書だけではないんですね。


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河野弁護士

例えば、お店で10円を払ってガムを買うのも契約だけれど、契約書はないですよね。
日常では、契約書がなくても契約が成立するのはむしろ普通のことなんです。心配なときは、電話のやり取りも録音できればベストです。


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大石智久さん

揉めた時のために記録を残しておくことが大事、と言うことですね。

電話で修正指示を受けた時にすべきこと

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河野弁護士

よくあるのが、電話での指示です。
「ここをこう直して」と言われて直したのに、実際に出来上がったら「これじゃダメだ」と言われることがありますよね。
「いやいや、ダメなのはあなたの指示のせいです」と言っても「そんな指示はしていない。言ったことを証明できますか」という話になることもありますから。


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大石智久さん

たしかにありますね。


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河野弁護士

なので、「電話の指示はこれでお間違いないでしょうか。備忘のために送ります」とメールで送っておくのもいいですね。


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大石智久さん

相手から返信がこない場合はどうなりますか。


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河野弁護士

「返信をいただけたら、作業に入ります」と書いておくといいでしょう。返信がなく、それで工程が遅れたら発注者側の責任になりますから。
なので、返信がなかった、という記録を取っておくのも必要ですね。返信がないということは、相手が止めていた、ということになりますから。


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大石智久さん

最近は、スケジュールをオンラインツールで共有したりしますが、あとで書き換えることもできちゃいますよね。


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河野弁護士

それも、スクリーンショットで残しておくのが一番安全ですね。

著作者人格権を行使しないって、どういうこと?

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大石智久さん

契約書で気になるのが、著作者人格権というもので、これを行使しない、というのがあるのですが。


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河野弁護士

著作者人格権は著作権の一部で、クリエイターの名誉や作品への思い入れといった人の気持ちに関わる部分を守る権利です。
ただ、そもそも気持ちに関わる部分も人格も、譲渡できるものではないですよね。なので、著作者人格権をあなたには行使しませんよ、と言うのが一般的な理解です。


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大石智久さん

行使しないことで、具体的に何がどうなるか、というのがよくわからないのですが。


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河野弁護士

著作者人格権の中には、名前を出すか出さないかを決める権利だったり、中身を変える「改変」を受けない権利などがあります。Webデザイナーだとよくわかると思うんですけど、著作者人格権が行使されると、納品したあとにクライアントがWebサイトを一切変えちゃいけないことになります。

更新できないWebサイトなんて意味がないですよね。なので、そういった場合は、行使しない、と約束しておかないとおかしなことになる、という話だと思うんです。


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大石智久さん

なるほど。著作者人格権を行使する必要があるのか必要ないのか、案件ごとに見極める必要がある、と言うことですね。次の契約から気をつけて見極めるようにします。



次回は、10/27(水)公開予定です。クリエイターにとって、著作権は自分の制作したものを守るために知っておきたい基礎知識ですが、同時に、意図せず相手の著作権を侵害しないためにも知っておきたいものです。どこからがパクリになるのかなど、引き続き弁護士の河野冬樹先生に法的な見解をお聞きします。続きをお楽しみに。

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

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