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女性の人生とキャリア

キャリアも人生もしなやかに選択したい。女性クリエイター座談会vol.1

結婚と出産。女性にとって大きなターニングポイントにもなるこのライフイベントに、自由な発想で多様な人たちと仕事をする女性クリエイターたちはどんな考えを持っているのでしょうか。
「女性たちにとって、自分らしい生き方につながる情報を発信したい」。そんな思いから、SHOOTEST Journalでは、女性クリエイター3人による座談会を開催しました。テーマは「女性の人生とキャリア」。本音がいくつも飛び出したこの時間から、彼女たちの経験と今の気持ちをお伝えします。

座談会参加者プロフィール
柴山あかねさん
デザイナー。週3日、正社員としてPR関連の仕事をしながら、複業フリーランスデザイナーとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛ける。コーヒー屋とのコラボで商品開発も。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。
石丸暁子さん
インテリアデザイナー。美大卒業後、革製品のバッグ店での販売員、リフォーム会社での営業を経て、現在、建築事務所に勤務。飲食関係やホテルなど多様な空間づくりに携わる。二級建築士。
界外亜由美さん
「言葉」で伝える制作会社mugichocolate代表取締役。コピーライター、クリエイティブディレクターとして活動の場を広げる。産前産後の女性とサポーターをつなぐ「MotherRing」主宰。


女性クリエイター3人がやりたい仕事に就くまで

界外さん:今日はよろしくお願いします。まずは自己紹介から始めましょうか。

石丸さん:私は、都内の小さな設計事務所でインテリアデザイナーをしています。入社6年目で、飲食系やホテルを中心にいろいろな設計に携わっています。
高校卒業後に美術大学の建築・インテリア学科に進学して、卒業後は一度デザインの道を諦めて革製バッグの販売員として3年くらい働きました。その後は住宅系リフォーム会社へ営業として転職し、3年ほど勤めた後、知人の紹介で今の設計事務所に転職しました。プライベートでは婚約者がいます。

柴山さん:週3日、会社員としてPR関連の仕事をしながら、週4日はフリーランスのデザイナーとして働いています。フリーランスの仕事では、イラストやロゴの制作、必要になればWEBサイトを作ることもあります。様々なことに幅広く関わっていて、地元のコーヒー屋さんとコラボして商品開発をしたりもしています。誰かのやりたいことを応援するような仕事ができたらいいなと思い、いろいろな人と仕事させてもらっています。
もともとは、コーヒーがすごく好きだったのでコーヒー屋さんで6年くらい働いていました。その間に結婚をして、別れも経験しました。コーヒー屋さんのほかには制作会社でイベント企画、またレンタルスペース事業やケータリングを行う企業で働いていた時もありました。現在、プライベートでは独身です。

界外さん:私は制作会社を経営しています。コピーを書いたり、企業のブランディングをしたり、クリエイティブまわりの仕事をしています。WEBや紙媒体の制作会社に何社か在籍して、コピーライターやクリエイティブディレクターなどの経験を積んでいました。
フリーランスになった時もあったのですが、東日本大震災の時に、被災地の妊産婦さんを支援する「東京里帰りプロジェクト」にジョインしたことが転機になりました。その後、産前産後の女性を支援する資格団体の立ち上げにも携わって。
そこで、産前産後の支援をする女性たちの広報活動に貢献したいと思うようになって、可能性を広げるために会社を立ち上げました。現在はクリエイティブ事業と、産前産後の支援事業の2つを事業を運営をしています。あと、結婚していて、中学1年生の男の子の母でもあります。

柴山さん:界外さんはクリエイティブと産前産後の支援と2軸で事業をされているんですね。そしてお子さんがいらっしゃる。

界外さん:女性にとって、結婚や出産は、一度はじっくり考えるテーマなのかなと思うんです。たとえば、結婚をして働くとなったら家庭を優先してできる範囲で働くのか、それともフルで働くのか。働き方も雇用される形を選ぶのか、独立するのか。人それぞれ考えや選択が違っているのが当たり前で、そこに正解はないと思うんです。

石丸さん:そうですよね。私は今33歳ですが、結婚を特別急いでいるわけでもなく、出産についてはまだ距離があるのかもしれません。
もともとすごく不器用で、遠回りな人生を送ってきました。
リフォーム会社では、デザイナー部署への異動を希望したうえで営業をやり続けていました。でも、営業としての実績も残せなかったので待てど暮せどデザイナー部署への異動の声はかからず。しびれを切らしてデザイン寄りの案件を取ってきては、営業職にも関わらず自分でデザインをさせてもらっていました(笑)。
雑誌掲載のための物件として会社から推薦されるような実績を残すようになった頃、知り合いから「そんなにデザインの仕事をしたいなら」と紹介してもらったのが、今の事務所だったんです。新卒からカウントすれば6年のブランク、うれしくてその6年分を巻き返すくらいの気持ちで必死で仕事に取り組んで。少しでも社会に認められる専門家になろうと、入社後に二級建築士の資格も取りました。大変なこともありますが、今、やりがいを持って仕事をしています。だから、特に出産については34歳を目前にしてもまだ実感がわいていないかもしれません。

自分の気持ちに正直に生きてきた

界外さん:石丸さんは遠回りしたと言っていますが、いま、しっかりと自分のやりたい仕事を手にしているんですね。今後、仕事でこんなことがしてみたいという夢や目標はありますか?

石丸さん:建築やインテリアの仕事は、完成まで2~5年くらいかかるプロジェクトも多いのですが、そういう長いスパンで完成まで積み上げていく仕事に携わっていたいです。大きなプロジェクトでは何千人という人が一つのゴールに向かって、何年もの間、一生懸命ものづくりをするその世界に、大きな魅力を感じています。すごく美しいなと思うし、自分の世界がぐんと広がるんです。
以前から海外のプロジェクトにも挑戦したいと思っていたのですが、タイミングよく関われるようになって。今、バンコクでホテルを作る仕事を進めています。山あり谷ありで簡単なことばかりではないのですが、頑張りたいですね。
自分の知識や経験を総動員して、ものを作ることにこだわっていたいです。その先には成長があるじゃないですか。自分のキャパを超えたいっていつも思うんです。

柴山さん:私は、対企業というよりは、一人ひとりのやりたいことをサポートできる力を持ちたいと思っています。私の仕事選びの基準は、世の中になくてもいいかもしれないけれど、あればより生活が豊かになるようなものに関わっていたいんです。

界外さん:柴山さんが働いていたコーヒー屋さんの仕事はまさにそれですね。

柴山さん:デザインやイラストの仕事もそうなのですが、あったらちょっと気持ちがほっとするようなものをつくり続けたいなって思っています。誰かが「実はこういうことをやりたいんだよね」と言ってくれた時に、「一緒にやろうよ」って言えるように、そのためのスキルの引き出しを増やしていきたいと思っています。

仕事優先だった生活に焦りを感じて

界外さん:おふたりとも明確に仕事の目標を立てていらっしゃるんですね。ただ一方で、30歳くらいになると、まわりの友だちが結婚したり、子どもが生まれたり、そういうことが増えると思うのですが、おふたりはどんなふうに感じていますか?

柴山さん:私は今29歳なのですが、21歳で結婚をして25歳で別れました。子どもがほしいとも思ったけれど、あの頃はやりたいことへの気持ちのほうが大きかったですね。
24〜25歳の時って、世間では大学を卒業して社会人になったばかりというタイミングで、みんな世界が一気に広がっていそうで、うらやましかったですね。私はすでに結婚をして、安心感はあったけれど、この先の人生に不安も感じていました。

界外さん:結婚生活の中で、自分が新しいことにチャレンジしている姿が思い描けなかったんですね。

柴山さん:その頃はうまく描けませんでした。でも、いろいろなところで好きなことを発信していたら、お仕事の話をいただけるようになって。そこからいろいろな人とつながって仕事の幅も広がっていきました。

石丸さん:私は社会人になってから全然彼氏ができなくて。友達も多くなかったですし、小さな頃からものづくりが好きで、とにかく自分のやりたい「作ること」を人生の最重要事項として優先してしまっていたんです。
でも、気づくと、まわりの友だちは2人目、3人目の子どもがいたりして。30歳になった頃からこのままではまずいかもと思い始めて、焦りましたね。それから2~3年、人生のものごとに優先順位のコントラストをつけすぎないように意識して動くようにしました。そのうちに良い出会いに恵まれて、今があると思うのですが、結婚は想像できても、子どものいる生活はまだ想像できないですね。いたら楽しいだろうなと思うのですが。お子さんがいる女性を見ると包容力があってかっこいいし、私の知り得ない世界を見ていると思うと、すてきだなと思います。


次回は7/14(水)公開予定です。子どもを産むことで仕事や人生がどう変わっていくのか、それぞれが感じる不安や時代や選択の変化について語り合います。

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

神奈川県生まれ。コーヒースタンド、コンテンツ制作会社を経て、現在はクリエイターとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛けながら、プランニング企業に週3日の正社員として勤務している。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。

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