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未経験の自分に全てを賭ける。映像クリエイター高橋遼さんvol.3

クリエイターの仕事や生活に役立つ情報をお届けするSHOOTEST Journal。今活躍中のクリエイターをパーソナリティとして迎え、日頃仕事や私生活で感じる疑問や悩みを専門家と解決していきます。
パーソナリティの一人、映像クリエイターの高橋遼さん。映像という未経験の世界を選択した高橋さんが、スキルを身につけるため、仕事を得るために選んだ方法を語っていただきました。


半年やってダメだったら就職しよう

ーー前回(第2回リンク)、プロデューサーとして実績を積んできた高橋さんが、「映像作家になろう」と決意し、それまでの仕事を全部手放したところまで伺いました。

辞める時にまず、「半年やってみて、映像の仕事が全く来なかったら就職しよう」って期限を区切りました。実際に、転職エージェントの人に相談すると、
「あなたはまだ、転職市場だと若いです。27歳から31歳までが、転職の黄金期なんです」と言われて。「じゃああと2年は大丈夫なんだ」って思ったんですよ。

もしうまくいかなかったとしても就職できそうだと思うと、少し安心しました。それでまず、貯金を生活維持だけではなく、カメラやパソコンの購入に使いました。自分の夢に必要な物を買うことで、夢をかなえる一歩目を踏み出しました。

ーー本当にゼロからのスタートだったんですね。

そうです。ほんとに素人からはじめました。それまで、制作業界に関わっていましたが、プロデュースや営業の仕事をしていたので、PCも古いMacBook Airしか持っていませんでした。カメラも「何を買ったらいいんだろう?」ってところから始めました。

日本では誰も知らない新しいカメラを購入

ARをやっていた時に、日本語の情報の少なさを痛感していたので、海外のサイトから情報を集めました。「how to shoot〜」って検索して、出てくる情報をひたすら読み込んでいきましたね。

その頃ちょうど、デジタル一眼レフで動画を撮るのが流行り始めていたんです。一方で、何千万円もするようなシネマカメラもある。シネマカメラが欲しいけど、資金的に絶対無理だ、って思ってた時に、シネマカメラのような映像を数十万円で撮れる画期的なカメラが出てきたんです。

当時は英語圏でしか販売していなかった、オーストラリアのBlackmagicDesignっていう会社のカメラでした。BlackmagicDesignは、今では世界で知られてきてますが、当時はまだ誰もyoutubeにも上げてないし、日本語の記事もなかったんですよ。

ーー「いいもの見つけた!」って感じですね。

これは自分っぽいなと、見つけた時にはテンション上がりましたね(笑)。みんなが名前を知ってるメーカーじゃなくて、新進気鋭のBlackmagicDesignを使ってます、っていう風にやろうと思って。そのカメラを買って、周辺機器を揃えて、仕事を全部手放した状況で総額200万円ぐらい使いました。

500人のフィルムメーカーから生き様を学ぶ

ーー未経験で、しかも独学でやっていくことに不安はありませんでしたか。

自分には自分のやり方があるはずだと思ったんですよね。

それを後押ししてくれたのが、海外のコンテンツです。海外では映像作家は「フィルムメーカー」と呼ばれています。そこで、youtubeなどで約500人分くらいのフィルムメーカーの動画を観ました。それぞれ違った経歴の人ばかりで、フィルムメーカーのキャリアの王道なんてないことがわかったんです。多くの一流の人たちが、「ノウハウはみんな現場で学んだ」って言ってました。

そこから、「未経験でも本気でやれば大丈夫だし、最悪うまく行かなくても、その生き方を選んだ自分はダサくない」と思ったんです。やるならすべてを賭けようと思いました。

そこからは、実際に撮影して、スキルをつけていった感じです。

海外のカメラマンたちは積極的に情報交換をしていて、「この映像はこの機材を使ってこんな風に撮るよ」って動画でアップしてくれているんですよ。それを見て、自分でも実際に撮ってみるということを、ひたすらやっていきました。

ーー
次回は6/28(月)公開予定です。海外からの最新情報をベースに、独学で撮影技術を学んでいった高橋さん。映像クリエイターとしての今の仕事につながるきっかけとなった出来事とは?

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

1988年生まれ。2011年に独立、最先端技術からアナログ技術を結ぶクリエイティブを提案。CM、MVなどの商業映像を始め、シネマティックな世界観での映像表現を追求。海外のフィルムフェスティバルでの受賞など、映像作家としても活動している。

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