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コーヒーの開発だけじゃない。絵本も出版したパラレルクリエイター Muu COFFEE 加藤宗将さん【素敵なクリエイターさんに会いに行こう!】vol.1

「何かにチャレンジしたい人を応援したい」という想いを形にしている柴山さんが、素敵なクリエイターに会いに行き、その魅力に迫ります。
今回登場いただくのは、神奈川県海老名市で人気のコーヒー屋さん「Muu COFFEE」の加藤宗将(かとうむねゆき)さんです。
加藤さんは、コーヒーの焙煎や商品開発の他に、なんと絵本の出版もしているのだそう。
クリエイターとして幅広い活動をしている加藤さんに、お店作りやもの作りへの想いをお聞きしました。

クリエイタープロフィール
加藤宗将さん

横浜市出身。神奈川県海老名市のコーヒースタンド「Muu COFFEE」のオーナー。お客さんの好みに合わせたオリジナルの焙煎を得意とする。コーヒーの商品企画や絵本の出版など、クリエイターとしても多岐にわたって活躍している。
https://muucompany.com/


「Muu COFFEE」の美味しさと名前の秘密

柴山さん:「Muu COFFEE」は好みや気分にあったおいしいコーヒーをいただけると評判です。どんな工夫をしているのですか。

加藤さん:2016年のオープン以来、注文を受けてからコーヒー豆を焼いて販売するというスタイルでやっています。
実は、僕には「この味を飲ませたい」といった強いこだわりがないんです。お客さんにどんなコーヒーが飲みたいかを聞いて、美味しいと思ってもらえる味を想像しながら焙煎するのが得意ですね。

柴山さん:コーヒー豆は、種類も焙煎の仕方もたくさんあるので、「こんな感じのコーヒーが飲みたいな」と思っていても、具体的に指定するのは難しいんですよね。好みを伝えて、それに合った焙煎をしていただけるのは魅力です。
ところで、「Muu COFFEE」のお店の名前は、加藤さんのお名前が入っているんですよね。

加藤さん:そうなんですよ。最初はかっこいい名前にしたくて、「豆の工房」という意味をこめて「BEANS WORK SHOP」と付けていました。看板まで作っていたのですが、妻から「よくわからない」とダメ出しをされたんです(笑)。友人たちには本名の「むねゆき」から「ムーさん」と呼ばれていたので、「Muu COFFEEでいいんじゃない?」と言われて。
ひねりがなさすぎる気もしましたが、考えてみたら、オーナーさんの個性が活きているお店は、店名に店主の名前が入っていることが多いんですよね。それで思い切って「Muu COFFEE」に変えました。
そうしたら、お客さんの層が変わりました。オープン当初は50代~80代のお客さんが多かったのですが、店名を変えてから20代のお客さんも来てくれるようになりました。お客さんも僕のことを「ムーさん」と呼んでくれるようにもなって、「自分がやりたいのはこれだったんだ」と思ったんです。お店自体が気軽に来てもらえる雰囲気に変わり、お客さんも増えて嬉しかったです。

クリエイターの気持ちを知りたくて絵を描き始めた

柴山さん:加藤さんは「Muu COFFEE」の経営以外にクリエイターとしても活動していますよね。今はどんな活動をしていますか

加藤さん:アウトドア専用のコーヒーのディレクションをしています。森や林の中で楽しむならこの豆、焚き火をしながら楽しむならこの豆と、ロケーションに合わせて異なる味わいの豆を使い、5種類のドリップパックをつくりました。

柴山さん:日々、お客さんの好みに合わせた焙煎をしているMuu COFFEEならではの商品ですね。
コーヒー以外にも、最近、絵本を出版されたと伺いました。

加藤さん:はい。今年、絵本を出しました。でも、絵を描き始めたのは1年くらい前なんですよ。

柴山さん:たった1年の間に、何があって出版するまでになったんですか?

加藤さん:「Muu COFFEE」をオープンして以来、地元の海老名で活動しているミュージシャンやクリエイターの方と知り合う機会が増えたんです。昨年、新型コロナウイルスが感染拡大した時に彼らの活動の場が減っていくのを感じて、一緒に仕事をしたいと思ったのが最初のきっかけです。
ただ、私はコーヒー屋なので、相手からすると「自分たちとは別に何もつながりがないのに」と疑問に思われてしまいます。だから、彼らに信頼してもらって一緒にいい仕事をするために、自分が一度創り手となって同じ経験をしようと思ったんです。それで絵を描き始めました。
とはいえ、絵を描くのは学生の頃以来ですし、得意だったわけでもありません。だから、最初はマルすらきれいに描けませんでした。まったく訳がわからなくて、本を買って練習しました。昨年春に緊急事態宣言が出てからは自宅にいる時間が増えたので、ひたすら絵を描いていました。仕事が休みの日は朝から晩まで描いていましたね。

柴山さん:一日中描いているってすごいですね。どんな絵を描いていたんですか?

加藤さん:よく描いていたのは身近な風景の絵です。最初はボールペンで描いていたのですが、そのうちパソコンで描くようになりました。思い通りにならなくて、線の引き方を何度も練習しました。
ある日、絵の勉強をしようと思って美術館に行きました。たくさんの絵を観るうちに、印象に残る画家の絵が評価されるのは、上手に線が描けるからではなく、その人自身の良さが表現できているからなんだと思ったんです。
それは、たとえピカソだって同じなんだと。それからは、つたないと思っていた自分の絵も「これが自分の絵なんだ」と思えて、愛おしく感じるようになりました。
そのうち、ただ描くだけではなくて、描くことで自分の想いを伝えたくなってきたんです。そこで、絵本を作ることにしました。
なぜコーヒー屋を営んでいるのかをよく聞かれるので、そのストーリーをまとめて出版しました。自分のことを書いて、クリエイターさんに自分のことを知ってほしいという思いもありましたね。

絵本を出版して、つくり手の工夫が感じ取れるようになった

柴山さん:クリエイターさんの気持ちが知りたいと思って始めたけれど、最初はうまくいかなくて落ち込んで、そこからうまくなるために努力をしたり、いろんな人の作品を観たりして「これでいいんだ。これが自分の表現なんだ」と思うことができるようになったのですね。こうした過程は、きっと多くのクリエイターが経験することですよね。
今回、絵本の出版を通して何か発見したことはありますか?

加藤さん:絵本を作りながら、コーヒーを売っている時の自分がどんなに気楽だったか痛感しました。というのも、コーヒーは嗜好品です。お客さんの好みもあるので、美味しい、まずいなどの答えがすぐに出ます。身体の中に吸収されて、何らかの余韻も残せます。
それに比べて、絵や写真、音楽は難しいです。絵や写真は、気づかれなければ背景の一つになってしまうし、音楽も、一生懸命作ったとしても聞き流されてしまうかもしれません。プロの作品がいかに計算されて作られているのか、説得力があるのはなぜなのか、少しずつ分かってきました。文章を読んでいても、読んでもらうための努力の足跡が感じ取れるようになりました。


次回は3/2(水)公開予定です。クリエイターとつながりたいという想いから始まった加藤さんのクリエイターとしての活動は、より幅を広げていきます。その話を詳しくお聞きします。

【 Information 】

Muu COFFEE
〒243-0406
神奈川県海老名市国分北1-41-5
https://muucompany.com
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水・木

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

神奈川県生まれ。コーヒースタンド、コンテンツ制作会社を経て、現在はクリエイターとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛けながら、プランニング企業に週3日の正社員として勤務している。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。

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