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チームでつくる、コーヒーと日常の新しい接点 Muu COFFEE 加藤宗将さん【素敵なクリエイターさんに会いに行こう!】vol.2

オリジナル焙煎を得意とする海老名のコーヒースタンド「Muu COFFEE」の加藤宗将さん。
加藤さんは今、チームをつくり、コーヒー開発や場づくりに挑戦しています。
人とのつながりを大切にする加藤さんの想いに、パーソナリティの柴山あかねさんが迫りました。

クリエイタープロフィール
加藤宗将さん

横浜市出身。神奈川県海老名市のコーヒースタンド「Muu COFFEE」のオーナー。お客さんの好みに合わせたオリジナルの焙煎を得意とする。コーヒーの商品企画や絵本の出版など、クリエイターとしても多岐にわたって活躍している。
https://muucompany.com/


失敗の経験から、「手を取り合う」企画チームを立ち上げる

柴山さん:加藤さんは、お客さんの要望に合わせたオーダーメイドの焙煎だけでなく、絵本を出版するなどクリエイターとしても活躍されています。
「コーヒー」と「表現」を両方とも大切にされているのはなぜでしょうか。

加藤さん:もともと僕が働いていたのが、食とエンターテイメントを融合したお店だったんです。僕にコーヒー作りを教えてくれた人も「コーヒーや音楽は、なくても生活はできるもの。でも、コーヒーや音楽が日常にとけこんでいる人の生活は豊かである」という考え方の人で、僕自身もその思いを受け継ぎました。
ある日、ライブを観ながらコーヒーが楽しめるイベントを企画しました。ところがそこで大失敗してしまったんです。ライブに来た人はコーヒーには目もくれないし、コーヒーを飲みにきた人も音楽を全然聴いていない。音楽とコーヒーが、それぞれ自分の主張ばかりになってしまい、結果的にお客さんを迷わせることになってしまいました。

その時、コーヒーと音楽、2つの良さを効果的につないでお客さんに楽しんでもらうためには「企画力」が必要だと痛感したんです。企画に強い人に集まってもらってチームを作り、土台をしっかりと固めようと思いました。

柴山さん:コンテンツの間をつなぐ存在としての企画チームですね。

加藤さん:はい。そこでできたのが、「Muu and」です。コンセプトは「手を取り合う」。
最初のプロジェクトは昨年の夏に行いました。全国のコーヒーショップからおすすめのコーヒー豆を購入してオリジナルのブレンドを作り、販売しました。

柴山さん:コーヒーショップ同士だと競合してしまいそうな印象ですが、手を取り合って一緒にプロジェクトを作ったんですね。

加藤さん:そうなんですよ。声をかけてみたら、みなさん「やりたい」と言ってくれて。今は、別企画で女性のためのカフェインレスコーヒーの開発をしています。

柴山さん:「Muu and」で企画をつくって形にする時、どんなところにワクワクを感じていますか?

加藤さん:何かを始めたばかりの時は、順調に行かないことが多いんです。もしうまくいかなくて苦しいと感じる時があっても、むしろそれは企画が走り始めた証拠でもあります。その状態から何をどう走らせるのか、自分なりの解を見つけたり、「うまくいっていないよね。じゃあ、どうしようか」と誰かと共有できることが楽しいですね。
今チームに参加しているクリエイターには強い意思があります。やりたいことも、熱い想いもあります。想いをぶつけられて、時には困ることもありますが、絶対に曲げられないものを感じた時には大きな刺激になります。

コロナ禍のお母さんに「自分と向き合う」時間を

加藤さん:最近は、お母さんのための場づくりもしました。「Muu COFFEE」には、小さなお子さんを連れたお母さんたちがよくコーヒーを買いに来てくれるのですが、その時に、たわいもない話をするんです。
ある日、「最近どうですか?」と僕が聞くと、「子どもが家にいる時間が長くなって、愚痴を言う機会がなくなった」と。コロナ禍でお母さんたちのストレスが溜まっているのを感じました。それならばお母さんたちが交流できる場所をつくろうと思いました。

柴山さん:コロナ禍で外にも出にくい時期、お母さんたちにはどうやって集まってもらったんですか?

加藤さん:インスタグラムです。お店のフォローをしてくれている人たちに「参加しませんか?」とメッセージを送ったところすぐに希望者が集まり、みんなで話せる場をオンラインで開きました。

柴山さん:加藤さんの行動力には驚きます。会を開いてみてどうでしたか。

加藤さん:話を聞いて、お母さんたちの置かれている環境に改めて危機感を持ちました。コロナ禍でこもりがちで、普段通りの家事もこなさなくてはならない。精神的な負担が大きいですよね。
モヤモヤした気持ちを少しでも解消してポジティブになってもらうためには、一人になって自分と向き合う時間が必要だと思いました。

そのために何ができるだろうと考え、「Muu and」のライターさんたちと相談してカードを作りました。全部で14種類あるカードには、それぞれ「人生で一度は行ってみたい場所は?」といった質問が書かれていています。コーヒーを飲みながらその質問について考える間だけでも、自分と向き合う時間をもってほしいと思って。

行動以外は、衰退。だから、行動を続ける

柴山さん:「Muu and」でいろんなクリエイターとつながって、企画を作る中で、いろいろな課題も出てくると思います。最近、大変だと感じたことはありますか?

加藤さん:やっぱり、「無名であるがゆえに売れない」という段階は苦労しますよね。製品そのもののクオリティやデザインが悪いわけではなく、知られていないから売れない。
これは、僕が「Muu COFFEE」をオープンしたばかりの時も経験しましたが、こういう時期は、努力がなかなか目に見える結果に結びつかないんですよね。
そんな時に自分に言い聞かせているのは、「行動以外は衰退」という言葉です。

柴山さん:「行動以外は衰退」!加藤さんらしいですね!

加藤さん:たとえうまくいかなくても、誰にも評価されなくても、行動し続けることが大切なんです。行動していれば少しずつ人に伝わるけれど、途中で諦めてしまったら誰にも届きません。
「誰にも知られていない」という苦しみは、傷つきながら行動し続けることでしか乗り越えられないと思うんです。
行動しているうちに、軸がぶれてもいいと思っています。失敗したり怒られたりしてもいいから、行動し続けることが大切です。それと同時に、「私はこういうことをしています」と話していった方がいいです。そうすると、いつか人に伝わる瞬間があるんです。
「Muu COFFEE」も、インスタグラムでの発信を続けているうちに、今では投稿をチェックしてくれる人が増えて、コメントやDMをくれる人も多くなりました。まったく誰も見てくれていない時期でも、やり続けていけば状況は変わってきます。イベント開催だって、「またやるの?」と言いながらも来てくれる人が増えてきます。

柴山さん:誰からも反応がない時は、自分がやっていることは間違っているんじゃないかと迷ってしまいがちですが、迷いだしたらきりがないですものね。

加藤さん:僕も「そんな発信しても、誰も見ていないよ」と言われることもありました。傷つきますよね。でも大事なのは、その時にどう耐え忍ぶか。これはきっと、どんなクリエイターさんも経験することですよね。
恥をかきたくなくて、途中で諦めて辞めてしまう人が多いのも実情ですが、いろいろ工夫して続けていれば、いつか伝わるようになります。「Muu COFFEE」も、こんなに最寄駅から離れているのに、たくさんお客さんが来てくれるようになりましたしね。


次回は3/9(水)公開予定です。自分の経験を通して、「製品に光を当てる」こと、また生活とクリエイターの仕事を両立するために大切にしていることなどをお聞きします。

【 Information 】

Muu COFFEE
〒243-0406
神奈川県海老名市国分北1-41-5
https://muucompany.com
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水・木

※本記事アップ時点での内容となります。法律や手続き方法、名称などは変更されている可能性があります。

神奈川県生まれ。コーヒースタンド、コンテンツ制作会社を経て、現在はクリエイターとしてロゴデザインやペットのイラストなどを手掛けながら、プランニング企業に週3日の正社員として勤務している。カフェのご飯を投稿したSNSも人気。

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